みなさんはセーリングのマッチレースであるアメリカズカップをご存知でしょうか。
ヨットレースの最高峰で別名海のF1とも言われています。
あの国際的ブランドのルイ・ヴィトンが冠スポンサーを務めるなど華々しい歴史があります。
今回はルイ・ヴィトンがスポンサーを務めるアメリカズカップ ヨットレースについてご紹介します。
アメリカズカップの歴史
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1851年にロンドン万博博覧会の記念行事に開催されたヨットレースに参加したアメリカチームが優勝カップを持ち帰ったことから始まるヨットクラブ対抗のレースです。
ちなみにロンドン万博博覧会の記念行事に開催されたヨットレースはワイト島一周レースというものでした。
名前の由来は国名のアメリカ合衆国から取っているのではなく、ロンドン万博博覧会で優勝したアメリカチームの船「アメリカ号」から付けられた名前です。
ですが、132年間もの長い間アメリカ合衆国が優勝し続け、カップを独占してきたので事実上はアメリカの大会という意味で使われています。
この連勝記録はスポーツ史に残る偉業と賞賛されています。
アメリカが敗れたのは1983年の第25回大会オーストラリア代表の「オーストラリアII号」というヨットでした。
実はこれまでの予選の組み方や使用艇の要件等は優勝カップ保有国アメリカのクラブが有利な条件で構成されていて、この敗退をきっかけに国際的なスポーツイベントとして生まれ変わります。
ここで気になるのが132年間勝ち続けていた大会で負けてしまったアメリカのチームですよね。
実はこのアメリカチームの船長デニス・コナー氏は「カップを失った最初のアメリカ人」として国民からひどいバッシングを受けます。
リベンジをかけた1987年の第26回大会で船長デニス・コナー氏は自らチームを率いて参戦、そして優勝をしてカップの奪還に成功します。
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手のひらを返したように国民はコナー氏を称賛し、当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガン大統領によってホワイトハウスに招待される名誉を受けました。
しかし次の第29回大会でコナー氏はニュージーランドの代表に敗れ「カップを2度失った最初のアメリカ人」という不名誉なあだ名が付けられました。
ニュージーランド代表は2000年に行われた第30回大会でチャレンジャーのイタリア代表と防衛戦を行い、初防衛を果たします。
ニュージーランド代表の船長ラッセル・クーツはユージーランドで英雄として称えられましたが、資金不足により主要メンバーと共にスイスのチームへ移籍。
2003年の第31回大会ではスイス代表が勝ち上り、ニュージーランドの新旧対決となります。
この戦いはスイス代表が勝ち、ヨーロッパへ初めてカップが渡ります。
3度の優勝を果たしたクーツ氏でしたが、スイス代表のオーナーと大会準備中に対立し脱退をします。
これにより第32回大会クーツ氏は大会へ出場できなくなりましたが、第32回大会はスイス代表の初防衛成功に終わります。
その次の第33回大会はとある事情によって迷走を極めます。
第33回大会の混迷を見ていきましょう。
第33回大会の混迷
第32回大会終了後スイス代表はスペイン代表を挑戦者代表として第33回大会要綱を発表しましたが、これに不満を持ったBMWオラクルレーシングの所属母体、ゴールデンゲート・ヨットクラブが不服申し立てを行います。
贈与証書の要件を満たしておらず挑戦者代表として不適格との理由でニューヨーク州最高裁判所へ提訴しました。
2年8ヶ月にも渡る裁判の結果、ゴールデンゲート・ヨットクラブの申し立てが認められスペイン代表は失格、ゴールデンゲート・ヨットクラブが正当な挑戦者代表として認定されました。
第33回大会は2010年2月に開催され、ゴールデンゲート・ヨットクラブが勝利を収めました。
アメリカズカップで使用される船
世界最高峰の国際ヨットレースと言われているアメリカズカップですが、使用されるヨットは出場国で建造しなければならないとの理由があるので国の威信をかけた試合になっているのです。
造船工学・建築工学・材料工学・流体力学・航空力学・気象学などの最先端技術や軍事からの応用技術が使用されたヨットレースはアメリカズカップ位でしょう。
オリンピック競技で使われるようなセーリングヨットではなく、特殊な形の大型のヨットにチームで数人が乗り込み操船します。
最高速度が時速約80キロで、乗っている人の体感速度は時速200キロにも達すると言われています。
なぜ海上でここまで速い速度が出せるのか気になりませんか?
それは海上を航行するだけでなく「空を飛んでいる」からです。
ボートレースなのに空を飛ぶの?と不思議に思いますが、その仕組みについて見ていきましょう。
ボートが空を飛ぶ理由
ボートが浮き上がる仕組みは飛行機と同じように「揚力」を利用しているのです。
アメリカズカップで使われるボートには大きな帆(ウィング)が張ってあります。
このウィングに風が当たることで前に進む力と横に進む力が発生しますが、横に進む力はヨットの左右につけられたダガーボートで抵抗し、前に進む力を強めます。
実はこのダガーボートと前に進む力が船を浮き上がらせるカギを握っています。
ダガーボートは水中部分で揚力を作り出すことができるので、前に進む力が強くなれば空気中へ浮かび上がるのです。
このボートが揚力によって浮かぶ現象を「フォイリング」と呼んでいます。
フォイリングを利用して航行することによって摩擦の多い水の上を走るよりもずっと速く走ることができるのです。
なぜ海のF1と言われているのかこれで納得ができると思います。
レースに出る方法とレースでの戦い方
アメリカズカップに出場するにはシンジケートと呼ばれる巨大な運営団体を組織しなければいけません。
資金の獲得や艇体の開発、セーリングチームの育成まで全てをシンジゲートが行い、まずは予選へと出場します。
前回大会優勝の優勝艇に挑む権利をかけた予選で、簡単に言えば挑戦艇決定シリーズです。
この挑戦艇決定シリーズは1983年の第25回大会よりルイ・ヴィトンがスポンサーを務めており、ルイ・ヴィトンカップと呼ばれています。
ルイ・ヴィトンカップを勝ち進んだ挑戦艇と防衛艇の1対1のマッチレースによって大会優勝者を決めます。
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一番最近のアメリカズカップ
最新のアメリカズカップは2017年の6月にバミューダ諸島で行われたばかりです。
実はアメリカズカップの前哨戦が福岡で行われていたのはご存知ですか?
2015年7月23日にポーツマスでスタートした第1戦から約16か月後、2016年11月18日に福岡で第9戦が行われました。
見に行きたかった人も多いのではないでしょうか。
2017年5月26日に開幕したアメリカズカップではニュージーランド、スウェーデン、イギリス、フランス、そして日本の5チームが出場しました。
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日本は残念ながら準決勝でスウェーデンに敗退し挑戦権を得ることはできませんでした。
決勝は日本を下したスウェーデンと数多くの大会で優勝してきたニュージーランドの闘いです。
そして先に4勝し決勝戦を制したのがニュージーランド代表のエミレーツ・チーム・ニュージーランドでした。
防衛艇であるオラクル・チームUSAをニュージーランド代表のエミレーツ・チーム・ニュージーランドが7-1で破り、王座奪還となりました。
アメリカズカップの大会間隔は3年~5年なので、次回の開催は東京オリンピック後となるでしょう。
開催スケジュールも発表されていないので今後の動きに注目していきましょう。
アメリカズカップを観戦するには
実際にアメリカズカップを観戦してみたいけど、どうすればいいの?と思う方も多いでしょう。
観戦ツアーを行っている旅行会社は無く、自分でチケットを取り見に行くしかないです。
開催地地までの飛行機や開催地に近いホテルを旅行会社で予約して、観戦に行くのが一番理想です。
迫力あるフォイリングをその目でしっかりと楽しんでみてください。
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まとめ
いかがでしたか?
今回はルイ・ヴィトンがスポンサーを務めるアメリカズカップ ヨットレースについてご紹介しました。
海上のF1とも言われる大会で、現代技術の結晶ともいえるボートを使ったレースが楽しめます。
予選も1対1なので、ルールが分かりにくいということもなく、だれでも楽しめるレースです。
歴史あるボートレースをぜひ生で観戦してみてください。